Japan Association for Medical Informatics

[4-E-1-PS16-4] プログラム医療機器・ヘルスソフトウェア市場活性化にむけた制度概要と参入障壁

鈴木 孝司 (公益財団法人医療機器センター医療機器産業研究所)

2014年11月25日に医薬品医療機器法が施行され、その改正の目玉の1つとしてハードウェアを伴わないソフトウェア単体が新たに医療機器として定義された。従来、一般的なコンピュータやタブレットで用いられる医療用ソフトでも、必ずハードにインストールされた状態で承認・認証取得および流通が求められていた(一部例外を除く)ため、ハードの「縛り」が生じ、ハードの日進月歩の性能向上に追従できない問題があった。ソフトがハードから切り離されたことで、ハードに縛られない製品化が可能になる、あるいはハードには不可欠である製造工場や製品保管といった物理的な環境が不要になるといった利点が生まれた。
法改正以降、2017年7月31日までに、認証(クラス2)164品目、承認はクラス3が16品目、クラス2が10品目の合計180品目となっている。法改正当初は既存医療機器メーカーが従来製品からハードを切り離してソフト単体とした製品が多かったが、新規参入メーカーによる製品事例も多く見られるようになった。また法規制対象のソフトではないものの、医療・ヘルスケア環境での利用を想定したものについては、産業界で自主ガイドラインを策定し、その適合性を宣言することで、利用者が優良なソフトウェアを提供できるようにするといった取り組みも行われている。
Deep Learningなどの機械学習を始めとする人工知能やビッグデータ解析技術の医療応用の風潮は、より多くの医療機器プログラムの登場を期待させる。医療機器として広く臨床現場へ普及させるためには、技術的完成度のみならず、医療上のニーズ・有用性、法規制対応(業許可や承認・認証)、保険収載を含めたビジネスモデル構築、社会的な認知・受容、と考慮すべき事項は多岐に渡っている。それらを1つ1つクリアしていくためには、アカデミア・規制当局・産業界・臨床現場の連携が不可欠であると考えられる。