[4-F-1-OP26-5] 機械学習を用いた糖尿病外来患者の血糖管理不良予測
【背景】糖尿病治療では、血糖管理不良が長期間続くと腎症等の合併症リスクが高まる。血糖管理不良を早期に予測できれば、治療を強化すべき患者を抽出でき、合併症発症の抑制に繋がると期待できる。筆者らは過去に受診中断リスク予測技術を報告した。本研究では通院治療を継続中の患者を対象に血糖管理不良の予測に発展させた。【目的】糖尿病患者の血糖管理不良を予測する。【方法】血糖管理不良の定義を「受診日を起点に、将来64週のHbA1cの最悪値が合併症抑制の血糖管理目標値7%を下回らず、かつ、過去64週の最悪値を上回る」とした。電子カルテから抽出した受診日を起点に過去64週のHbA1c値を入力し、血糖管理の不良/良好のいずれかを出力するモデルを深層学習で構築した。予測精度は10分割交差検定で評価した。対象は①2004年以降、東京大学医学部附属病院の糖尿病・代謝内科の外来に来院し、②電子カルテに糖尿病の病名コード(ICD10 E10からE14)が確定病名として付与されて転帰していない、を全て満たす患者とした。対象期間は2006年11月27日から2016年1月29日とした。正解ラベルは6,039人の患者に平均30.9件(標準偏差23.1)付与され、血糖管理不良は75,174件、良好は111,469件だった。検査は不等間隔で実施されるため、検査値は欠損を考慮したオートエンコーダで経時変化を表す低次元特徴量に変換することで予測精度向上が可能かを併せて検討した。【結果】検査値を変換せずに用いるとAUC値が0.72、F値が0.57のモデルが構築された。低次元特徴量へ変換すると予測精度が向上し、AUC値が0.78、F値が0.64だった。【考察】血糖管理不良を予測し、その精度を検証したのは本研究が初である。また、低次元特徴量への変換が予測精度の改善に寄与することを確認した。今後は特徴量を増やして精度向上を図る。