Japan Association for Medical Informatics

[4-G-1-JS9-1] 包括的な腎臓病データベース構築の試み ーJ-CKD-DB―

柏原 直樹1, 岡田 浩一2, 岡田 美保子3 (1.川崎医科大学 腎臓・高血圧内科学, 2.埼玉医科大学 腎臓内科学, 3.公益財団法人先端医療振興財団)

生活習慣変化、高齢化を背景に慢性腎臓病(CKD)患者が増加している。CKDは腎不全、心血管病、認知症とも関連し、実態把握と予防・重症化抑制法構築は喫緊の課題である。日本腎臓学会と日本医療情報学会は、厚生労働省臨床効果データベース事業及びICT基盤構築研究事業として、ICT技術を活用し、電子カルテ情報から包括的CKDデータベース(J-CKD-DB)の構築に着手した。
全国21大学病院の患者を対象とし、18歳以上、尿蛋白1+以上、かつ/または、eGFR 60 ml/分/1.73㎡未満をCKDと判定し、SS-MIX2標準化ストレージからhash関数を用いて匿名化した患者基本情報、診療科、検査値、処方薬剤、病名等を抽出し、データセンターに登録した。MCDRS(東京大学)を活用した。SS-MIX2を用いた診療情報標準化の度合いは異なり、大半の病院でローカルコードによる運用がなされていた。作業手順書を作成したが個別的対応を要し、事業推進の律速段階となった。
2017年8月時点で、10病院からの登録が終了し、約84000人からなるDBを構築した。残り10数病院のDB基盤を構築中である。最終的には20万人以上のDB構築を目指している。
本DBを活用することで、CKD患者の実態(重症度毎患者数、年代別有病率等)、診療実態(治療内容、診療科等)、標準治療・ガイドライン遵守率等の評価が可能となる。2014年度以降のデータを縦断的に抽出することも可能であり、予後調査、予後規定因子の解析にも応用可能である。
ICT技術・電子カルテ情報を活用し、多施設による臨床効果DBを構築するためには、①医療情報部門と診療科、院内各部門(薬剤部、臨床検査等)の連携体制の構築、②ICT技術に精通し、課題解決能力を有する進捗管理を行うプロジェクト管理部門・事務局の構築が不可欠であると考えられた。