Japan Association for Medical Informatics

[4-G-1-JS9-3] 疫学研究を目的とした情報処理システムの開発

山本 陵平 (大阪大学キャンパスライフ健康支援センター)

現在日本腎臓学会および医療情報学会の共同事業として進められている慢性腎臓病統合データベース(J-CKD-DB)事業は、国内の医学附属病院20施設以上における慢性腎臓病(CKD)患者を対象にした大規模疫学研究である。SS-MIX形式で抽出された診療情報を基にづいて、わが国における慢性腎臓病の診療実態を明らかにし、慢性腎臓病に対する治療戦略の構築が目的である。J-CKD-DB事業の一環として開発されているコホートメーカーは、複数施設の電子カルテ上の診療情報をコホート研究に活用する事を目的としたデータ処理システムである。電子カルテから抽出された検査データや処方データ等に対して、(1)データの標準化、(2)変数の作成、(3)対象の抽出+生存時間の算出の3段階のデータ処理を行うことによって、統計パッケージ上で生存解析を行うために必要なデータシートを作成する。コホートメーカーの特徴は、ウェブブラウザ上でデータ処理の設定および実行を行うため、プログラミングに関する知識が無くても、容易に莫大な診療情報を利用したコホート研究が実施可能な点である。また、HOTコードを含む様々な薬剤コードとWHO ATC分類の対応マスター(日本医薬品情報センター提供)を実装しているため、一般名による薬剤の抽出が容易であり、薬剤疫学的な研究を容易に実施可能にする。本発表では、大阪大学医学部附属病院の腎臓内科での加療歴のある患者約1万人の診療データを利用して、コホートメーカーを利用した疫学研究の可能性と今後解決すべき課題を提示したい。