Japan Association for Medical Informatics

[4-H-2-JS12-1] 医療保険者・疾病管理事業者・医療機関等が連携した生活習慣病重症化予防サービスの標準化・事業モデル創出を目指した研究

中島 直樹1, 山本 隆一2 (1.九州大学病院 メディカル・インフォメーションセンター, 2.一般財団法人 医療情報システム開発センター)

平成28年度AMED事業「PHR利活用研究事業公募課題:生活習慣病重症化予防PHRモデルに関する研究」において表題の研究事業(代表:山本隆一)を3年間の予定で実施している。この公募では「生活習慣病自己管理項目セット集」の実装が条件であったが、これは医療情報学会、糖尿病学会、高血圧学会、動脈硬化学会、腎臓学会、臨床検査医学会の6臨床学会が糖尿病、高血圧症、脂質異常症、慢性腎臓病の項目セットを2014年度までに共同策定したものであり、本事業の支援により40項目それぞれについて、JLAC10との紐づけおよびPHR推奨設定条件を策定した(日本医療情報学会HP参照)。また、別のAMED事業「SS-MIX2を基礎とした大規模診療データの収集と利活用に関する研究」で構築したPHR事業者に開放するバックアップサーバを利用している。生活習慣病のPHRは今後増加することが予測されるが、相互運用性の確保、つまりは利用者が価格や好みによって自由にプロバイダーを変更できるためには、標準的な項目セットやバックアップサーバを用いることが重要であり、本事業はPHR基盤構築を目的の一つとする。
また、PHRのビジネスモデルとして保険者が疾病管理事業者を用いて事業展開するモデルを提案していることも特徴である。患者の同意に基づき、保険者が特定健診情報を入力するとともに、かかりつけ医や検査センター、調剤薬局で入力された臨床情報や家庭で入力された自己測定情報を患者本人のみならず保険者(疾病管理事業者)が参照・管理することにより疾病管理を強化する狙いであり、現在兵庫県西宮市と佐賀県多久市で糖尿病腎症重症化予防を目的とした比較対照試験を含む実証事業を展開している。更には、2017年4月に次世代医療基盤法が成立し1年後に施行されることとなったが、バックアップサーバを介して匿名加工情報を作成し、認定機関(MEDIS-DCを想定)による安全なデータ2次利用を推進するとともに第2のビジネスモデルとすることも想定している。