一般社団法人 日本医療情報学会

[4-H-2-JS12-4] 毎日の糖尿病管理を七福神が伴走! 未受診・脱落・コントロール不良をなくせ!!

津下 一代1, 野村 恵理1, 栄口 由香里1, 加藤 綾子1, 村本 あき子1, 武藤 繁貴2, 小林 朋子3, 尾上 剛史3, 後藤 資実3, 有馬 寛3 (1.あいち健康の森健康科学総合センター, 2.聖隷健康診断センター, 3.名古屋大学医学部付属病院 糖尿病・内分泌内科)

2型糖尿病の発症予防、重症化防止のためには、健診後の保健指導、受診勧奨、治療中断防止や食事・運動療法等の励行が重要である。糖尿病との付き合いを、楽しく前向きな気持ちで続けられる仕組みづくりとして、IoTを活用した支援を試みた(経済産業省事業)。IoT 機能をもつ活動量計、血圧計、体重計を活用、デバイスのクラウドから七福神用のクラウドにデータを移動、一定のロジックのもとに週二回スマートフォンにフードバックを行った。七福神の各神は記録日数、歩数、活動量、体重、血圧、総合点に対応し、賞賛、励まし、残念、期待感などのメッセージを送る。体重の急激な変化や運動し過ぎ、血圧高値に対しては心配メッセージを発信する。このようなシステムが糖尿病患者の行動変容や体重、HbA1cに及ぼす効果を検証した。
【対象と方法】21の医療機関、2つの保健指導機関で合計181名が参加。IoT使用群と非使用群に無作為に割り付けた。糖尿病教育や診療回数等には群間で差がなく、日常診療に負担をかけないよう十分配慮した。【結果】1)デバイスの装着率:活動量計86.3%、体組成計76.0%、血圧計68.1%。測定率はBMI<25未満群(n=36)が92.3%(6.5日/週)が最も高く、高度肥満者では測定回数が低下する傾向がある。2)平均歩数はBMI<25群で9,079歩、BMI25~30群で10,154歩、BMI≧35群で6,659歩。BMI<30では増加維持傾向。3)3か月後の体重は介入群-1.3±0.2kg(p<0.01)、対照群-1.0±0.8kg(p<0.01)。糖尿病薬の処方がない59例では、HbA1cが介入群のほうが有意に大きな改善(p<0.05)。4)医師の感想では、動機づけに役立つ、取組姿勢がわかり指導に生かせる、若年者に役立つなどの手応えと、対象者を選ぶ必要がある、診察室のインターネット環境がない、などの意見もあった。【考察】IoTとリアルワールドでの医療職からのフィードバックを連動させることの重要性が示唆されたため、さらなる七福神システムの改良を検討している。