一般社団法人 日本医療情報学会

[4-I-2-OP30-3] 病院における統一物流マスター実現に向けた物流マスター利用状況調査

石川 朋子, 美代 賢吾 (国立国際医療研究センター)

病院情報システムは、電子カルテシステム、オーダエントリシステムといった基幹システムを中心として、各種部門システムが接続された大規模なものへと発展している。医療材料は多くの部門システムで利用され、部門ごとの要求仕様にあわせた医療材料マスターが作成されている。その結果、システム上での連携がとれず、受発注や物流の業務効率、ロット番号管理などの医療の質にも多くの影響を与えている。そこで、現在病院内に存在するマスターの現状を調査し、マスターのあり方について検討した。
対象は国立国際医療研究センターにおける病院情報システムとし、物流マスターの利用状況及び、基幹システムや物流マスターを使用している部門システムの調査を実施した。また、納品から消費までの間にどのシステムを経由し、コードをどのように変換しているか調査を行った。
物流マスターの利用状況は、診療材料品目数が約21,000件あり、毎月100件程度が追加されていた。物流マスターを使用している物品システムとして、医事システム、手術部門システム、場衣料部門システムなどがあった。しかし、これらのシステムでは同じ品目を異なるマスターで管理しており、管理コードは複数の桁数が存在していることが判明した。医事との整合性においては、現時点での状況は確認中だが、平成25年10月時点での請求率が95%となっており、これは同規模の病院での平均となる98%と比べて3ポイントも低い結果となった。
各部門システムで専用コードを振って運用しているため、マスター管理の精度が担当者によって非常に左右される面があり、一元管理するには統一コードで取りまとめ、連携させる必要がある。それにより、関係者の業務の平準化や効率化や物流管理の最適化、医療安全の向上、危機管理など、医療の質を向上させ病院機能を高めることが可能といえる。