一般社団法人 日本医療情報学会

[4-I-2-OP30-4] 統合マスタの構築後のデータ活用

西山 謙, 山下 貴範, 中島 直樹 (九州大学病院)

【はじめに】
 本院では電子カルテ・オーダーシステム、医事システム、部門システム(放射線、手術、内視鏡 )、物流システムなどの各システムのマスタメンテナンスを各部署が個別に行っていたため、管理が煩雑となり整合性が合わない事象が散見されていた。平成25年1月稼働の病院情報システムにおいて、システム間でマスタを横断的に管理する統合マスタを構築(第一報)し、統合マスタの品質管理(第二報)を行ってきた。今回はそのデータ活用について報告する。

【方法】
 収支データを対象として病院経営への活用を試みる。病院収入の管理は保険請求データに基づいて行われ、支出管理は診療実施データが根拠となる。収入データは医事システムの保険請求データとする。支出データは電子カルテ・オーダーシステム、部門システムから診療実施データと物流システムの購入マスタを活用する。収入データと診療実施データ、購入マスタには統合マスタが共通して重要な役割を果たす。患者への診療行為を最小単位とし、診療行為と薬剤、診療材料の使用を1レコード単位で把握することを可能とする。

【結果】
 患者の診療行為、薬剤、診療材料を把握し、収入データ、支出データを把握することができた。また、保険請求データと診療実施データにマッチしている区分を設けることで、伝票、システムの運用も可視化し、電子カルテのシステム品質を確認できた。これにより、運用フローの欠点を把握することが可能となった。これらを病院経営に関連する会議に活用した。

【まとめ】
 統合マスタを品質高く管理することで、収支データの病院経営への活用を可能とした。マスタとデータを可視化することは運用フローを可視化することも達成した。データからマスタ管理の重要性、課題を浮き彫りにし、その要因の発見や検索から追跡環境の強化を行うことを可能とした。今後においても統合マスタを中心とした品質管理を継続することが大事であると認識している。