Japan Association for Medical Informatics

[4-L-1-PP16-5] JLACコーディングにおける体外診断用医薬品情報とJLACコードとの対応表の有効性評価

山上 浩志, 平松 達雄, 山本 隆一 (一般財団法人医療情報システム開発センター)

【背景と目的】施設固有な臨床検査項目コード(ローカルコード)をJLAC10(標準コード)にマッピングする作業は,一定の臨床検査知識とJLACコード体系知識の両方を必要とする。そのため習熟度の高い作業人員を施設内で確保することが難しく,各施設で付番されるJLACコードに誤りや施設間不一致が生じていることが指摘されている。この作業を支援するツールとして,体外診断用医薬品(以下,試薬)情報をJLACコードに対応づけた「JLACコード対応表」(以下,対応表)があれば,試薬の添付文書に記載された情報から適切なJLACコードを確定的に選択できるのではないかと考え,対応表を作成してその効果を検証した。
【方法】「JLAC10運用事例表」に収載された検査項目を対象に,2017年2月時点で流通を確認した試薬の添付文書(約2,200件)をもとに対応表を整備した。対応表の各行は,製造販売承認(認証・届出)番号や販売名等の試薬情報とJLAC10/11コード,JLAC検査名称から構成した。この対応表の有効性を評価するため,協力12施設の臨床検査技師が、約40検査項目について、JLACコード対応表(T),臨床検査マスター(M),JLAC10要素コード表(Y)の3通りの資料を参考にJLAC10コーディングを行い,その作業に要した時間と結果の正確性を測定し比較した。このとき,問題用紙の種類や参考資料の順序の影響が検証施設間で打ち消し合うようにプロトコルを策定した。
【結果】所要時間では,T<M(p<0.01),M<Y(p=0.03)となり,T/Mは0.53,Y/Mは1.28であった。得点計では,T>M(p=0.02)となり,その中央値はT:500.0点(満点7施設),M:470.8点(満点なし),Tの四分位範囲値はMやYに対しておよそ1/5~1/6となる4.8点であった。
【考察】体外診断用医薬品情報をもとにJLACコードを検索する手法を採ることにより,従前に比べて短時間で正確なコーディングが期待でき,現状の問題を解消できる可能性が示された。今後,新版・臨床検査マスターへの展開を検討していく。