Japan Association for Medical Informatics

[4-L-2-PP17-2] がん化学療法レジメン検索ソフトウェアの開発とその有用性の評価

中澤 香子1,2, 三澤 昭彦1, 鈴木 直人1, 外山 聡1, 赤澤 宏平2 (1.新潟大学医歯学総合病院薬剤部, 2.新潟大学医歯学総合病院医療情報部)

【目的】
がん化学療法の処方箋に対して、薬剤師は化学療法レジメン(癌種、使用薬剤、投与日、用量、投与方法などの治療計画書;以下、レジメン)に基づいて内容の適否を判断する。同じ薬剤でも癌種や投与日、用量が異なる複数のレジメンが存在していること、多くの医療機関では紙媒体での運用であるため、実務でも検索や管理に苦慮している。そこで今回、レジメンの迅速かつ正確な検索や閲覧が可能なソフトウェアを開発し、その有用性の評価を試みた。
【方法】 
データベース管理は、Excel、FileMaker Pro Ver15での開発を行い、ユーザーの利用環境に合わせて利用することとした。<仕様>①個々のレジメンに管理番号を設定し、検索に必要なキーワードをレジメン情報として登録できる。管理番号は、カテゴリ分類用4桁+通し番号4桁の計8桁の数字とする。②フィルタオプションを用い、カテゴリ分類毎に抽出可能とする。さらなるレジメンの絞り込みは、オートフィルタを対話型画面で活用できる。③HYPERLINK関数等を用いて、管理番号に対応したレジメン(PDF形式)を連結する。④レジメン抽出画面から該当レジメンへ移動できる。<評価>データベース導入前後における、今年度入職の薬剤師の平均検索時間を測定し、四分位点とMann-Whiteny検定で比較する。
【結果】 
今回は、病院情報システム内への導入の容易性から、Excelにて運用した。資料から基本的なレジメン情報を入手できる薬剤師において、管理番号の設定が可能な規則が提案できた。1,000を超える全レジメンから、カテゴリ抽出の活用で、50件程度まで絞ることが可能になった。紙媒体での検索時間は平均26±7.3分だった。
【考察】
本ソフトウェアの利用により、多くの医療機関でレジメンの効率的な運用が可能となる。有用性に関してクロスオーバーデザインによる正確度、検索時間、使い勝手の主観的評価の定量化を数か月以内に行う。今後は病院情報システムに組み込むための技法開発を進めていく。