Japan Association for Medical Informatics

[4-L-2-PP17-3] 病院内薬局における医薬品GS1データバー活用の評価と課題

木下 元一, 鵜飼 和宏 (名古屋第二赤十字病院 薬剤部)

【背景】2014年から医薬品のGS1データバーを活用したシステム開発を行い、調剤包装単位のGS1データバーを活用して医薬品取り違い防止システムと麻薬管理台帳の自動作成を運用した。2016年から販売包装単位のGS1データバーを活用した開発を行い、医薬品検収時に検品とともに医薬品マスターのYJコード間違いを検出するシステムを運用した。2017年から医薬品検収と同時に有効期限と製造番号を記録するシステム構築を行った。
【目的】病院内薬局で医療安全とトレーサビリティ確保のために調剤包装単位と販売包装単位のGS1データバーを活用するうえでの課題を明らかにする。
【制約条件】医薬品物流倉庫からの入庫と病院内医薬品倉庫からの出庫までを対象とする。
【方法】PDA(Personal Digital Assistant)を利用して調剤包装のGS1データバーを読み取って医薬品の取り違いを防止する。医薬品検収時にGS1データバーを活用して医薬品マスターのYJコード間違いを検出する。医薬品検収と同時に有効期限と製造番号を記録する。
【結果】医薬品取り間違いは、操作者が手順違反を行うことによって2件のエラーが発生した。発売時にYJコードが付番されない医薬品(ワクチンや経口避妊薬、消毒薬)は医薬品マスターのYJコード間違いを検出できなかった。販売包装単位のGS1データバーに含まれる有効期限と製造番号は、36.8%の付与率(2017年3月から5月)であり、卸業者から入手した出庫データを突合させる手法によって99.8%に高めることができた。
【考察】取り違いの検出には在庫数確認が有効であった。発売時にYJコードがない医薬品はMedisから入手して追加した。販売包装単位のGS1データバーは、1つの箱に複数記録されているケースが散見され、実運用の妨げとなった。