Japan Association for Medical Informatics

[4-L-2-PP17-6] レセコン標準のNSIPS®を用いた調剤データの再構築及び考察

桑原 望, 神野 統尚, 本間 丈士, 西本 圭一, 堀口 雅巳 (望星薬局)

【背景・目的】平成28年10月、今までシステムベンダーと共に独自開発を行ってきたレセプトコンピュータ(以下、前レセコン)から市販のレセプトコンピュータ(以下、パッケージ)へ切り替えた。これは、近年の保険医療制度や調剤報酬の複雑化が主な理由である。切り替えを検討する過程において、パッケージは点数計算、レセプト請求に特化しているものの、パッケージ標準のNSIPS®では、前レセコンで培ってきた独自性が失われ、調剤機器との連携に支障をきたす事が分かった。これには当薬局の内規に従った調剤や他のインターフェイスを採用する調剤機器との連携等の課題が挙げられた。そこで、パッケージ標準のNSIPS®を解析し、データを再構築することによりこれらの課題を解決し、切り替え前の柔軟性を維持できないかを検討した。
【方法】パッケージから出力されたNSIPS®(VER.1.04.01)に対して内規に沿った処方解析を行うサービスプログラムを開発した。この解析データを利用し、新たなNSIPS®の作成、他のインターフェースファイルの作成、PDAとの連携(WebAPI)及び薬袋等の印刷を行うこととした。また、処方解析で不足している情報については、前レセコンと同様に処方入力時に2桁の調剤用のコメントを付加することで対応することとした。
【結果・考察】NSIPS ®は殆どの調剤機器メーカーが採用するインターフェイス規格であるが、その利便性を生かすのはそれを送信する側次第である。当研究では、NSIPS®を解析し、そこから調剤データを再構築することにより、検討段階で挙げられた課題を全て解決でき、内規に沿った調剤及び薬袋等の印刷を行えるようになった。また、調剤用のコメントを付加したことで、レセコン上で複雑な設定を行う必要がなくなり、これにより迅速な処方入力も可能になっている。しかし、処方解析を行うためには、パッケージとは別に自社でも医薬品情報や各種マスタ等を管理しなくてはならず今後、これらの管理の簡素化が必要である。