一般社団法人 日本医療情報学会

[2-B-1-2] 診療ガイドラインの推奨実践状況の改善:医療の質指標時系列変化パターンの多施設調査研究(Minds-QIPプロジェクト)

今中 雄一 (京都大学大学院医学研究科)

厚生労働省委託事業EBM普及推進事業(Minds)による診療ガイドラインの標準化および利用環境の整備により、多くの診療ガイドラインがウェブサイト等を通じて各診療専門領域で入手しやすくなってきた。しかしながら、現場で診療ガイドラインやその推奨がまだ十分に活用されていないのではないかという指摘もある。エビデンスに基づいた推奨事項が十分に実践されない場合の原因は何か、また、うまく実践されている病院とそうでない病院の違いは何か、どのように実践が普及していくのか、等については未だ十分な知見がない。
2018年度の診療ガイドラインの活用促進に関する1つのプロジェクトMinds-QIP(Quality Indicator/Improvement Project)では、全国多施設のデータ・情報を分析して、診療ガイドライン推奨の実践を医療の質指標QIとして可視化し、疾患領域・推奨項目別および病院別にQIの時系列変化パターンを検討している。並行して、同病院群への調査票調査を実施するとともに、協力の得られた個別病院で情報収集を行い、診療ガイドライン推奨の促進・阻害要因や課題を同定してきている。今後課題解決および診療ガイドライン推奨の実践に繋がるような実証的資料を作り、提言としてまとめることを目的として研究を進めている。
診療ガイドライン推奨の遵守については、各種疾患領域別の課題もあれば、診療科横断的な、病院における組織的な課題もある。現場から情報を得て推奨事項を現場に取り入れるプロセスの課題やしくみを把握することが重要である。