Japan Association for Medical Informatics

[2-B-1-3] Quality Indicatorを用いた医療の質改善

嶋田 元 (聖路加国際大学 CIO, 情報システムセンター)

聖路加国際病院では診療ガイドラインに代表されるEvidenceと日常診療であるPracticeの格差(Evidence-Practice Gap)を質指標(Quality indicator)として定義し、電子カルテを始めとした様々な情報源から日常診療を可視化し改善する取り組みを行ってきた。
実際に指標化するとこれまで意識されなかった課題が見えることがあり、質改善活動のきっかけとなりうる。質改善活動には様々な要素があり、QIを目に見える形で公表するだけで値が改善するホーソン効果や過去2回の共同シンポジウムで報告したCDSS(Clinical Decision Support System)の実装はその一部である。
いずれの改善活動もこれを行えば必ず改善するというものなく、重要な要素はいかにして現場の医療従事者にその重要性が認識され活動を行うことが必然認めてもらえるかであろう。このためにはQIを用いてこれまで提供されてきた医療と比較して現時点で提供している医療がどのように推移しているか、改善する余地があるか、そのためには何を行ったらよいかなどを議論し方針策定し実行し再評価するシステムが重要である。
組織的な質改善活動を行うためには、これを支える情報システムの整備、改善活動をすすめる組織体制とそれらを支える人材である。
本シンポジウムでは実例を交えながら質改善の例について報告する。