Japan Association for Medical Informatics

[2-B-2-4] おきなわ津梁ネットワークの現状および展望

比嘉 靖 (沖縄県医師会)

沖縄県医師会では、「中高年層の早世阻止」と「働く世代のメタボリックシンドローム対策及び糖尿病対策等」を重要な課題と考え、県民の保健・医療に寄与することを目的に「おきなわ津梁ネットワーク」事業を展開している。
 本ネットワークには、全市町村(41市町村)と協会けんぽ沖縄支部、後期高齢者医療広域連合から提供された特定健診・長寿健診データが集積されるとともに、各医療機関で行う検査データ等を随時集積する仕組みを構築してきた。県民の同意を取得し、登録した時点で過去の特定健診情報等を参照することができ、適切な医療提供及び重症化対策が可能となった。また、特定健診情報が保存されていない場合は、必要に応じ受診勧奨を実施することが可能である。
平成29年度には総務省「クラウド型EHR高度化事業」により、地域の中核病院やその他の医療施設、調剤薬局、介護保険施設などからの「医療・介護情報」もSS-MIX2仕様にて集積し、「検査結果」のみではなく、画像などを含めた「医療情報」も各施設にて双方向に利活用可能なシステムとなった。さらに、「地域包括ケア」での使用を見据え、歯科医師会や看護協会、理学療法士会や作業療法士会等、各在宅医療関係団体と連携し開発した「多職種連携機能」も実装しており、発症前~治療~介護を総合的に包括する「支援ツール」の運用を目指している。現在、沖縄県医師会は「65歳未満健康死亡率改善プロジェクト」を推進しており、その具体的施策として腎症重症化をターゲットにした「CKD重症化予防システム」、行政と連携し特定健診受診率向上を目指した「特定健診受診インセンティブ制度」への応用など、本ネットワークを使った実績、成果・効果等について実証する事を目指している。今後はElectronic Health Record (EHR)として集積した情報の一部を、県民個人の同意・責任の下で利活用できるPersonal Health Record(PHR) に提供できるシステムの検討・実現に向けて活動する。