Japan Association for Medical Informatics

[2-B-3-1] オンライン診療は患者側からの新たな情報の流れ、流れの制御の必要性

近藤 博史 (鳥取大学医学部附属病院)

今年度から「オンライン診療」の保険診療化が始まった。診療所を中心に開始された遠隔診療は「オンライン診療」の名称で進みだした。「遠隔」が取られたのは遠隔地のシステムと言う誤解を解いて、都会の在宅医療や「働き方改革」の対象の都会の多忙な職業を持つ患者を対象に含めているからである。現状、慢性期疾患で外来診療にて患者と医療者間のコミュニケーションが十分に得られている等の前提があるが、エビデンスを重ねて広げることが考えられている。ガイドラインでは電子カルテの混在に注意が払われているが、TV電話あるいはTV会議機能についてはあまり記載されていない。これまでの遠隔医療が医療機関側から在宅に広がったものが多く、患者への注意はほとんど無かったので、遠隔医療学会では急遽患者への注意を2月に出している。ところで、オンライン診療のシステムにはTV電話機能以外に種々のモニタリング情報や、学会でスコア化されたものも含めた症状の記録が含まれることが多い。これまで医療機関で持たなかった外来と外来の間の患者の医療情報であり、病院の診療レベルアップも期待でき、大学病院としても積極的に集めたい情報と言える。しかし、その情報は客観性、精度の問題を含む。医療連携から広がる在宅医療介護のシステムは一部モニタ情報も含むこともあるが、医療機関側から患者宅への情報の流れであり、オンライン診療は逆に患者側から医療者側への新たな情報の流れであり、スマートフォンの高機能化で可能になった時代のニーズと言える。4月以降大学病院でも重症患者や神経難病で移動に苦労する患者も多く、地方大学では過疎化、高齢化からもオンライン診療のニーズは大きいと言える。
また、最近では第3の流れとしてテレストロークのような救急医療機関間のネットワーク構築の流れもがあり、院外の電子カルテ情報、画像情報、TV会議システムの情報が交錯することが予想され、今から将来像を議論し、混乱しないようにするために目的に応じた情報の整理と標準化が必要である。