Japan Association for Medical Informatics

[2-B-3-5] 遠隔診療(オンライン診療)システムの活性化のために

本多 正幸 (長崎大学医学部附属病院)

 これまでの大学病院における病院情報システムの発展は、医事会計から始まり、検査部門などの部門へのシステム化、オーダエントリーシステム、電子カルテシステムへと発展してきた。また、電子カルテシステムへの展開の中で診療所との連携(病診連携)などの地域医療連携システムへと発展してきた。この展開の中で「遠隔診療システム」が認められ注目されている。遠隔診療システムというと、遠隔放射線医用画像診断支援システム(テレラジオロジー)、遠隔病理診断支援システム(テレパソロジー)、皮膚科における遠隔診断(テレダーマトロジー)や医療者間における遠隔会議支援システムなど、どちらかというと医療者間の連携についてITを活用して行うことが着目されてきた。しかし、今回の展開ではテレホームケアなど在宅医療支援や在宅介護支援の充実が期待されている。「在宅」というとこれまで、長崎では「あじさいネット」における在宅支援、あるいはドクターネットなどが注目されているが、我が国の超高齢化社会や急性期病院の減少などの環境変化の中で、大学病院における遠隔診療(オンライン診療)への期待が高まってくることが予想される。これまで、地域連携や患者情報の2次活用への貢献に対する注目が集まる中、大学病院と在宅という切り口で、遠隔診療(オンライン診療)への対応を検討する必要がある。
 本報告では、AIやロボティックスなどの医療分野への活用による、業務改革が叫ばれる中、大学病院と在宅との連携問題において、患者さんらの持つIoT機器(スマートフォン)で蓄積された情報をどのように活用するのか、データの質の問題をどう解決するのか、大学病院における体制整備、在宅における環境整備など、問題を整理して考えてみたい。