Japan Association for Medical Informatics

[2-C-1-6] 診療技術部門における医療情報技師の役割と存在意義

山澤 順一 (九州沖縄医療情報技師会・国保水俣市立総合医療センター)

 日本の電子カルテ導入率は、400床以上の病院で約8割を超え、医療技術の高度化、専門化に伴い、部門システムが急速に進歩し、各専門資格を持った医療技術者が業務を効率よく安全に行うための業務支援や他職種間で横断的に情報共有するシステムとして必要不可欠な存在となっている。また、システム導入についても高い専門機能が求められるため、基幹システムとは別に部門システムとして導入するケースが多く、部門システムや検査機器の接続費用を含めると全体の構築費用の5割程度を占める事になる。これらの部門システムについて、導入から運用管理まで医療技術者としての専門的な視点だけでなく、医療の効率化や医療の安全、医療の質の向上を考慮し、導入コストや運用管理コスト、費用対効果など病院として全体最適を考えられるスキルを兼ね備えた人材が必要である。また、病院の目指すビジョンや診療現場のニーズに合わせた最適な情報システムを構築するためには、ベンターや病院職員との意識の統一を含め、他職種とのコミュニケーションスキルを兼ね備えた人材が必要である。全国調査でも小・中規模病院では、医療情報システムを管理する専門部署が無く、診療技術部門の医療情報技師が運用管理を兼任していることが多く、各部門システムの保守管理、診療現場への対応など、病院情報システムを運用していく中で大変重要な役割を果たしている。また、運用管理だけでなく、蓄積された情報から有用な情報を収集・分析し、医療の効率化や医療の安全、医療の質の向上につながる提案や情報技術を使った情報の可視化など現場視点での有効利用を自ら考えられる、あるいは他職種と協力してリーダーシップをとりながら、提案を自ら発信できる人材として、さらに成長する必要があると考える。
 院内のみならず地域医療での多職種連携の関わりなど、今後の医療情報技師が能力を十分に発揮できるよう、医療情報技師の役割と存在意義について、職種としての確立や職場の環境改善などの課題も含め、ディスカッションを通して考えてみたい。