Japan Association for Medical Informatics

[2-C-2-2] MID-NETデータ利活用のためのアウトカムバリデーション

宇山 佳明 (独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)

MID-NETは全国10拠点23病院に御協力いただきながら構築を進めてきた医療情報データベースで、処方、病名等の他、臨床検査結果を利活用できるという特徴を有しており、リアルワールドにおける医薬品の副作用発現状況を客観的に評価できる手法として期待されている。本データベースは、品質管理等を実施した結果データの高い品質が確認され、平成30年4月より本格運用を開始しており、今後、医薬品安全性評価等において活用が期待されている。
 データベースに基づく調査においては、副作用等の目的とするイベントを適切に同定するため、イベント定義が重要であり、処方、病名、臨床検査等を組み合わせて定義されることが一般的である。MID-NETを活用した適切な調査実施を促進するため、現在、日本医療研究開発機構(AMED)の研究班「MID-NETデータの特性解析及びデータ抽出条件・解析手法等に関する研究」において、副作用として検討されることが多いイベントに対して、適切なアウトカム定義を設定するための研究を進めている。本研究班では、機械学習等を取り入れた効率的なイベント定義手法を検討するとともに、同じアウトカム定義に関する複数の医療機関間での差異についても検討しており、本研究班での成果は、MID-NETの適切な利活用を促進するだけでなく、アウトカムバリデーション研究の一つのモデルになると考えられる。本講演では、本研究班での取組みについてご紹介したい。