Japan Association for Medical Informatics

[2-C-3-3] 炭素繊維を用いたUHF帯信号の安全制御と応用について

水野 広文 (東海電気)

UHF帯RFIDシステムを医療分野で活用するための課題として、電磁的安全性の確保がある。各医療機器はJISで電界値が規定されており、RFIDシステムはこの電界値を超えない範囲での使用が求められる。これに対応するために、静電遮蔽により電波漏洩を防止するのか、JISの規定をクリアする範囲での弱電界にてRFIDシステムを活用する手法が選択されることになる。しかし、静電遮蔽では、信号原や保護すべき対象を導体で覆い、これを接地点に接続して遮蔽するが、医療施設では接地端子が少ないことで活用場所がごく一部のエリアに制限されてしまう。また、弱電界でのRFIDシステムの活用についても、多数を読み取り認識する場合に電界値の不足による読み落としが発生する場合が考えられる。この問題点を解決するために、炭素繊維による電界遮蔽を提案する。炭素繊維をゴム材に封入(約5%の重量比)した遮蔽素材を開発し、この素材を使用した小型認証BOXを試作し、同様の大きさ導電性メッシュの認証BOXとの性能比較を行った。この結果、1Wの出力下で導電性メッシュの電界値-22.34dbに対して開発素材は-22.02dbとほぼ同等の性能が確認できた。この炭素繊維を用いた電界遮蔽材を活用することで、使用場所を選ばず、高出力の電界値でも電磁的安全性が担保できるRFIDシステムを製作することが可能となる。例えば、SPDセンターではゲート通過型のRFID機器を使用することで、医療材料300点を3秒以内に認識できるようになる。また、院内各所ではカート型のRFID機器を使用することで、医療材料等の在庫確認やトレーサビリティーの管理が場所を選ばずに実施できる。この技術を活用した医療現場のニーズにマッチしたRFID機器の事例研究を進めていくことで、ユビキタスICTシステムの医療分野での活用が広がると考える。