Japan Association for Medical Informatics

[2-C-3-4] 高解像カメラによる手術器材の複数一括認識の検証と業務への適用検証結果

三浦 寿朗 (サクラシステムプランニング)

医療施設では術式ごとに使用する器材をセット化し滅菌しているが、その作業を中央材料室が行っている施設が多い。手術で使用した後の器材は回収され所定の洗浄の後滅菌処理をするため、再度術式ごとのセット組作業がある。このセット組業務の状況は数千種類の器材があるため、実務経験豊富な作業者によりセット組リストをもとに器材とその名称を確認しながらおこなっているが、中央材料室の業務を外部業者に委託している施設が増加している中、熟練作業者がなかなか採用できない問題が発生してきている。未経験者においては一人でセット組作業を行えるようになるまで数ヶ月を要する。その為作業効率改善やセット組された器材の入れ間違い防止に効果があるとされ器材へのバーコード刻印(DPM)や電子タグ(RFID)の取り付け等様々な方法が採用され始めてきている。しかしこのシステムの導入には多くのイニシャルコストを必要とし、導入後の耐久性も未知数であり課題とされている。そこで今回、高解像カメラでの画像認識技術の活用により対象となる手術器材を画像で認識しさらに同時に複数本認識することが可能かどうかの検証をおこなった。この検証結果が良かったため認識装置の試作機を作成し、セット組作業の経験者と認識装置を使用した未経験者による検証を行うことにした。これまで人の熟練度により左右されていた業務がICT化することにより、成熟度が求められる作業を誰でもできる作業に変えていくことが可能となり業務の大幅な効率化や正確性、手術部での安全性や効率化により患者に正確な手術器材を供給するシステムを目指せると思われる。本技術は器材ごとに刻印や電子タグをつける必要がないため、その分コストも安価となると予想している。また本技術が発展することで、器材の使用・未使用のデータ化による適正な器材セットの構築、資産の管理により病院経営などへの効果も期待したい。