Japan Association for Medical Informatics

[2-D-1-3] RealWorldDataを活用するための医薬品分野におけるマスタ管理の実際

高田 篤史 (九州大学医学部附属病院)

医薬品開発においては、GCP刷新の一環として、ICHガイドラインの改訂が行われている。ICHガイドラインは国際間における医薬品開発の取り決めであり、改訂により臨床研究の質を上げることが求められている。そのために、生産分野で実現されている手法を取り入れ、研究プロセスそのものの管理を行い品質を高めていく方針がとられている。それと同時に製造販売承認前の臨床研究のみならず、製造販売承認後の医薬品安全管理も重視されている。実臨床の現場におけるRealWorldDataを用いた臨床研究の意味は、これまで以上に重要になると考えられ、その結果が行政判断にも影響していくこととなる。こういった背景のもとに、平成30年4月にGPSP省令の改正が施行された。
治験と臨床がシームレスな関わりをもつ時代における、医薬品マスタはどういった管理を必要とするのだろうか?九州大学病院(以下当院)における取り組みを通じて、論じていきたい。
当院では、MID-NETにおける協力医療機関の一つとして、RealWorldDataに反映するための、医薬品マスタなどの精緻化に取り組んできた。医薬品マスタにおいては、従来から使用しているローカルコードに、標準コードと呼ばれるHOTコード、YJコードといったものをその粒度に応じてマッピングする必要がある。これらのマッピングは、医薬品の新規導入時はもちろん、名称変更やメーカ名変更などに伴う、コード修正にも追随することが重要であり、その正しさを保証していくことの重要性も増してくるものと考えられる。この取り組みの成果はMID-NETに限定されるものでなく、当院の診療データ全体の質を上げるものである。