Japan Association for Medical Informatics

[2-E-2-1] 自治体と共に進むしまね医療情報ネットワーク

小坂 真二 (島根県立病院 病院長:島根 まめネット)

島根県では1998年の遠隔画像読影支援の実証実験から14年間かけてまめネットの前身である医療ネットしまねを構築した。その過程で、県内の産科医不足対策として島根県主導で周産期ネットワークを構築した。2012年、サーバー更新を期に、地域医療再生基金を利用し、まめネットとして再構築した。
まめネットは島根県が運営する医療情報ネットワーク(以下ネットワーク)であり、組織体制は、地域医療支援会議の下にIT専門部会を設置、各医療圏域代表、行政などが参加して協議している。実際の運営はNPOしまね医療情報ネットワーク協会が行っている。
特徴は、ネットワーク・利用者認証・患者紐付けを基盤サービス(以下基盤)として島根県が費用負担し、ネットワーク上の各種サービスは利用者が利用料を負担する。利用料は維持費と次期サーバー更新代金を含めて設定されている。
ネットワークの継続には、利用者増加が必要である。地域包括ケアへの取り組みも含め、まめネットでは多職種への権限付与を行っている。患者さんがネットワークに同意、参加した時に配布されたまめネットカード(以下カード)を提示、各情報提供医療機関が診療情報をまめネットIDと紐付けする。それを閲覧する医療機関は、患者から個別同意を得て閲覧する。カード発行が情報連携の始まりとなるが、薬局、訪問看護ステーション、介護施設から1000枚以上のカードが発行されており、情報連携が地域包括ケアの現場から始まってきている。
在宅医療支援サービスも運用しており、その中に、自治体から主治医意見書・介護認定等の書類をダウンロードできるサービスがある。これで介護事業者・ケアマネージャーが書類を役所まで取りに行かなくてよくなるため、毎月800件程度の利用がある。
まとめ
まめネットの運営に島根県が深く関わり、自治体の要望も取り入れて運用されている。今後も参加者を増やし、多くの県民が利用できるシステムを目指していくことが継続的運用に必須と考えている。