一般社団法人 日本医療情報学会

[2-E-2-3] とちまる・どこでもネット ~医療連携・医介連携2つのシステム併用の有用性~

長島 公之 (長島整形外科院長:栃木 とちまるネット)

栃木県では、医療(垂直方向)連携には、ID-LinkとHumanBridgeによる「とちまるネット」を5年前から、医療介護(水平方向)連携には、完全非公開型医療介護専用SNS「メディカルケアステーション」による「どこでも連絡帳」を4年前から、運用している。それぞれの目的に適している2つのICTネットワークを併用することで、現場で使いやすく、管理が簡単で、コストが安いという利点が生じ、継続運用に有利である。本年3月、両者が一体であることを明らかにするために、「とちまる・どこでもネット」という名称をつけた。運営は、県医師会内部の「とちまる・どこでもネット協議会」が、地域医療介護総合確保基金による県からの補助金を使い、行っている。ID-LinkとHumanBridgeの導入費・維持費は、各情報提供病院が個別に負担しており、閲覧側は無料で利用できる。
メディカルケアステーションは無料で使えるため、利用者の費用負担もない。運用の費用は、会議・運用講習会費用が大部分であり、比較的少額である上、必要があれば減額も可能である。運営側の管理は、「とちまるネット」は医療連携だけに限定しているため、単純であり、安全性も確保しやすい。「どこでも連絡帳」では、患者ごとに、主治医がSNSを管理するため、きめ細かい管理が可能になり、運営側の負担も軽い。
また、SNSの安全性を確保するため、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第5版」及び一般社団法人保健医療福祉情報安全管理適合性評価協会の「医療情報連携において、SNSを利用する際に気を付けるべき事項」に従っている。
課題は、「とちまるネット」におけるサーバーの更新費用、「どこでも連絡帳」における「スマホなどの機器費用」、「個人所有機器の利用」の問題である。対策として、診療・介護報酬上の評価や、基金や自治体からの補助金が必要である。