[2-E-3-1] 医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律施行後の状況
2018年5月11日に医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律(通称:次世代医療基盤法)が施行された。施行に際し、定められた基本方針や指針類はかなり厳しいもので、要配慮情報である医療情報の利活用の推進にあたって慎重な姿勢と言える。抄録執筆時には、いくつかの法人が認定匿名加工医療情報作成事業者として認定を受けるための準備を進めており、学会開催時には最初の認定事業者が誕生しているかも知れない。本法律は改正個人情報保護法によって、厳しく制限されたオプトアウトによる医療情報の二次利用を、厳格な基準のもとに緩和するもので、制限は強い。法制度の順調な発展は期待されるところであるが、これだけですべてのニーズを満たす訳ではない。また本来黙示の同意ベースで利活用が行われるべき一次利用も、長期罹患疾患が主体となり多施設連携が必須の現在の医療においては安全を確保した上で必要な流通は行われなければならない。次世代医療基盤法で対応できない二次利用や、空間的・時間的に広がらざるを得ない一次利用においては本シンポジウムの主題であるセキュアなプラットホームが重要であることは論を待たない。シンポジウムでは改正個人情報保護法下での医療情報の利活用に関する課題を次世代医療基盤法の施行状況を含めて報告し、引き続く議論の論点を明確にする。