[2-F-1-2] 多分散型電子カルテの基礎的研究
現在、電子カルテは診療情報の保存と閲覧に広く使用されている。一般的な電子カルテは中央サーバーに依存する集中型で構築されている。中央サーバーに対して依存するこの構成は、データ容量が増加した場合に備えた先行投資が必要となる。また障害が起きた場合、電子カルテの機能全体に影響を及ぼしてしまう。一方、データを集中的に管理するのではなく、複数のデータベースに分散して管理する多分散型データベースが存在する。この多分散型データベースは、内部的にリソースの追加が容易に行なえる。また、多分散型データベースはデータを水平に分散することができるため、データベース内のリソースを均一に保持することが可能である。ところで、集中型で構成されている電子カルテでは患者を軸にしたデータの保存を行っている。そのため、集中型で構成されている電子カルテの各オーダー情報は多分散データベースのインスタンスを捉えることが可能と考えられる。よって、各オーダー情報の量に対するリソースを最適化でき、リソースが不足している場合は追加することが可能となる。また、多分散型データベースのインスタンスに障害が発生した場合、該当するインスタンス以外は利用可能であるため、電子カルテへの障害の範囲が電子カルテの機能全体ではなく一部に留めることが可能になる。そこで本研究では、多分散データベースを用いた電子カルテ、すなわち多分散電子カルテの実現可能性の検討を行った。具体的には、今回は多分散型データベースであるRedisを用いて多分散電子カルテ内のオーダーごとに分散されたデータを一般的な電子カルテと同様に、患者を軸に取得しその後、データの追加や編集を行った。この一連の動作によって、データの一貫性があるか検証を行った。