一般社団法人 日本医療情報学会

[2-F-1-3] マスターを統合的に管理する試み

山下 暁士1, 水谷 浩行1, 堤 英樹2, 伊藤 暁人2, 林 久博2, 福田 雄希2, 小林 大介3, 大山 慎太郎1, 舩田 千秋1, 白鳥 義宗1 (1.名古屋大学医学部附属病院 メディカルITセンター, 2.富士通株式会社, 3.神戸大学大学院医学研究科 地域社会医学・健康科学講座 医療システム学分野 医療経済・病院経営学部門)

【背景】病院の基幹システムがレセコンからオーダリングシステム、電子カルテと適用の拡大や機能の拡張を繰り返すにしたがって、マスターの複雑性は増大してきた。加えて、放射線、検査、薬剤などの部門システムを抱え込むことで、管理すべきマスターの数は膨大となり、ミスなく維持していくことが困難になってきている。【目的】管理の複雑性を低減するためにマスターを一元的に管理するシステムを構築し、その影響を確認すること。【方法】新病院総合情報システムの診療材料マスターをメンテナンスするツールとして、富士通(株)にマスター連携システムの作成を依頼した。それまでの診療材料のコード不一致などによる不具合の問い合わせ件数、マスター連携システムに含まれる診療材料マスターのテーブル数などを影響として調査した。【結果】マスター連携システムは5月中旬に完成し、現在稼働中である。それまでの4カ月半に診療材料マスター間の不一致、設定ミスによる問い合わせは25件登録されていた。その中には数十件のエラーを起こした不具合も存在した。マスター連携システムが稼働するまで残存していた不具合2件は稼働とともに解消した。マスター連携システム稼働後、現時点では不具合の報告はない。マスター連携システムに含まれる診療材料マスターは6システムにわたり、全部で15テーブルであった。【結論】現在の病院総合情報システムには診療材料といった同種類の内容を保持するマスターが広範なシステムにわたって多数存在しており、それをミスなく管理することが困難であることが再確認された。本システムは抄録作成時点では稼働したばかりであり、今後の影響を注意深く見ていく必要がある。大会ではそこを含めて発表を行う予定である。