[2-F-2-4] 集中治療室入室患者における患者重症度に沿った至適退室基準の検討
【背景・目的】 平成30年度の診療報酬改定で特定集中治療室管理料について、生理学的スコアの測定が要件として加わった。これは、集中治療室入室患者の適切なトリアージを目的とし、今後重症度スコアに沿ったアウトカム評価が導入されることが予測される。集中治療室入退室時の明確な基準は定められていないが、重症度スコアの測定が加えられたことは、集中治療室入室患者を客観的に評価し、適切な入室状況を把握できることになる。2025年問題をはじめ、少子高齢化やマンパワー不足、医療費財政の逼迫等の問題が深刻化することが予測されている。集中治療の領域においても、不必要な入室状況を避け、効率的かつ効果的な介入と適切な入室期間を保証する上で、客観的な指標の導入が不可欠である。 集中治療室入室患者の重症度に沿った退室基準を明らかにし、患者ケアの均てん化と医療提供サービスの効率化を図ることを目的とする。【方法】 研究期間は2017年1月1日から12月31日。A総合病院の集中治療室に入室したDPC対象患者802人を対象とし、重症度スコアとしてAPACHE-Ⅱ、SOFAスコア及び外科的アプガースコアを使用した。DPC入院期間Ⅱ期までに退院できている患者群を、適正な入院期間であった患者群として評価し、重症度スコアの減少が大きければ集中治療室を早期に退室できているという仮説をもとに、集中治療室入退室時の重症度スコアの差異を検証した。この結果をもとに、集中治療室入室期間及び退室時の重症度スコアを予測する回帰モデルの構築を試みた。【結果及び考察】 年齢、性別、MDC、APACHE-Ⅱ、SOFAスコア及び手術患者の外科的アプガースコアを説明変数として使用し、集中治療室入室期間、集中治療室退室時の重症度スコアを予測する回帰モデルを構築した。このモデルの構築、また手法の導入によって、客観的な指標を用いた集中治療室退室数値目標を示すことができ、至適退室基準の確立が期待できる。