一般社団法人 日本医療情報学会

[2-F-3-3] 遠隔医療・オンライン診療の実装に際する医療情報技師の役割

吉村 健佑 (千葉大学医学部附属病院 病院経営管理学研究センター)

 我が国での保健医療分野におけるICT化の取り組みとして、国民・患者への保健医療の質の向上を目的とし、医療機関等の連携の推進、研究開発の推進、医療の効率化の推進を掲げ施策を進めている。
 遠隔医療・オンライン診療は地域医療の充実の観点から重要と位置づけられ、ICT技術の進展を背景に医療提供の一つの在り方として期待が高まってきた。同時に全国への普及・推進のために医師法との齟齬のない要件の明確化が求められ、2018(平成30)年3月には「オンライン診療の適切な実施に関する指針」が公表された。さらに続けて2018(平成30)年4月の診療報酬改定により「オンライン診療料」「オンライン医学管理料」などが具体的に評価され、保険診療上の要件が明確化したことで実装が加速している。一方で、これらの指針や算定要件を制度・技術面から読み下して理解し、現場で適切かつ効率的に運用するにあたって「翻訳者」としての医療情報技師の役割が期待される。
 医療情報技師の資質としてのCommunication, Collaboration, Coordinationを発揮する場面として、患者と医療専門職などが異なる環境の下で情報機器を介して診察を行うオンライン診療や遠隔医療はなじみやすいと考えられる。
 本発表ではこれまでの政策的経緯を踏まえ、遠隔医療・オンライン診療が医療に与えるインパクトを考察した上で、医療機関が実装する場合の留意点を医療情報技師の役割を発揮する観点から提示したい。医療現場における情報技術の活用は今後進むことしか考えられない状況にある中、実装に向けてさらに具体的に研究が進んでいる分野・事項について概観し、その中での医療情報技師の役割と今後の進むべき方向性を考える土台を提供したい。