[2-G-1-3] 開腹手術と腹腔鏡手術における入院後発症疾患について
【背景】一般的に開腹手術は、腹腔鏡手術より手術時間は短く入院期間は長い。両手術にはどのような入院後発症疾患の違いがあるだろうか。入院後発症疾患の種類と違いについて調査するために、胃の開腹手術と腹腔鏡手術を比較した。【目的】胃の開腹手術と腹腔鏡手術の入院後発症疾患の種類と違いについて調査する。【対象】DPCデータ:様式1 2010年度~2014年度(52,044件)【方法】(1) 胃の開腹手術と腹腔鏡手術のKコードを診療報酬点数表から抽出し、DPCデータを開腹手術グループと腹腔鏡手術グループに分ける。 (2) 両グループの入院後発症疾患ICD10コードを抽出する。上位5位の疾患を特定する。(3) 両グループ間で合併症の比率に有意差があるか検定する。(4) 両グループ間の在院日数に有意差があるか検定する。【結果】開腹手術グループの対象症例数は173件、腹腔鏡グループの対象症例数は196件であった。両グループの入院後発症疾患の1位は「ショック、他に分類されないもの」、2位は「胃潰瘍」、3位は「睡眠障害」、4位は「その他の腸の機能障害」と同じだった。両グループ間の合併症の有意差検定では、R57.1 (循環血液量減少性ショック)のみに有意差が有った。在院日数は有意差が認められた。【考察】両グループの中にR57は69件有り、その中でR57.1(循環血液量減少性ショック)は13件、詳細不明コードR57.9(ショック、詳細不明)は56件あった。この56件が明確にコード付けされていたら、他の4桁の詳細コードにおいても有意差が認められたかもしれない。R57.1は出血性ショックであり、開腹手術グループは腹腔鏡手術グループと比較して出血量による合併症が多く生じていたと思われる。【結語】胃手術について開腹手術グループと腹腔鏡手術グループに分け、合併症の違いについて調査した。R57.1 「循環血液量減少性ショック」の発症率は開腹手術群で有意に高かった。