Japan Association for Medical Informatics

[2-G-1-6] 敗血症のおける持続的腎代替療法データベースを用いた浄化量の分析:単施設後方視記述研究

森 信洋1,2, 川原 靖弘2, 土屋 智一1, 関根 広介1, 原 隆雄1, 高倉 照彦1 (1.亀田総合病院 ME室, 2.放送大学大学院 博士後期課程)

【背景】 敗血症において持続的腎代替療法(CRRT)の浄化量の差異による患者の疫学的調査は十分にされていない.我々の目的は,集中治療室におけるCRRTデータベースの開発をおこなうことで,CRRTを施行した敗血症患者の併存疾患と死亡率を明らかにするとともにCRRTの施行条件を分析することである.【方法】 対象は,2014年1月1日から2017年12月31日までの敗血症と敗血症性ショックでCRRTを施行した28人の患者であった.浄化量800mL/hを標準群,浄化量801mL/h以上を大量群と定義して群間比較をおこなった.主要評価項目は90日死亡率とし,副次的評価項目は28日死亡率とした.p < 0.05を有意とした.【結果】 敗血症と敗血症性ショックを呈しCRRTを施行した患者は0.9%(2837人中28人)で浄化量の標準群は18人,大量群は10人であった.標準群の年齢の中央値[IQR]は68[61-75]歳であった.90日死亡率を従属変数としCox比例ハザード解析で分析した結果,維持透析の患者において有意な差を認めなかった(HR, 2.79; 95% CI, 0.48-16.29; p=0.25).主要評価項目である90日死亡率は有意な差はなく(56% vs. 80%, p=0.38),副次的評価項目である28日死亡率にも差はなかった(44% vs. 60%, p=0.69).【結語】 本研究において敗血症でのCRRTの浄化量は標準量より多く設定したときに、死亡率や併存疾患に有意な差が生じないことが示され、保険報酬上限で浄化量を施行することで医療費の増加を抑制できる可能性がある.このことは敗血症におけるCRRTの施行条件の設定に有効であることも示している.