Japan Association for Medical Informatics

[2-G-2-3] CDSの標準化におけるPPIの扱いについて

木村 映善 (国立保健医療科学院)

医療安全や医療の質向上に臨床判断支援システム(CDSS: Clinical Decision Support System)の援用が期待されている.しかし,CDSは医療情報システムの中でも,医療に関する概念の高度な操作を要求されるアプリケーションであり,開発と普及に多くの課題を残している.CDSが成功するには,(1)患者プロファイル情報を中心としたCDSの知識ソースの情報モデルの標準化,(2)知識ソースからのデータ取り出し方法の標準化,(3)CDS呼び出しの標準化,(4)CDSからの通知内容及び通達方法の標準化,(5)CDSにおける判断ロジック記述の標準化,(6)CDSの連携の契機を定義するイベント(トリガーとなるイベント),(7)CDSの知識の記述や基礎的な推論のベースになるオントロジー,LOD(Link Of Data)の拡充,等を達成しなければならない.
 CDS on FHIRでは,CDSのデータソースとして,標準情報モデル及び標準化されたWebサービスが規定されているFHIRを採用することで,前述の(1)(2)を解決している.また,診療現場のフロー,イベントの命名法と連携内容を定義することで,前述の(3)CDSの呼び出し,(4)連携の契機,(5)CDSの通知内容についても解決を試みている.
 CDS on FHIRに関連して,ワークフローに応じてCDSの起動とCDSからの応答,さらなるインタラクションのために,ユーザインタフェースを提供するSMART appとの一連の連携について定義したCDS Hookが策定されている.