Japan Association for Medical Informatics

[2-G-2-4] 臨床意思決定支援に適合したPPIのデータモデルの検討

栗原 幸男 (高知大学)

課題研究会では医療情報システムに整備すべき患者プロファイル情報(Patient Profile Information: PPI)のデータ項目構成を、既存病院情報システムでのPPIデータ項目や日常診療で使われている初診時問診票のデータ項目から整理して、網羅性と汎用性を意識して検討して来た。しかし、この戦略では標準的なPPIのデータセットを収束させることが大変困難である。そこで、PPIの本来の役割に立ち返って、PPIのデータモデルを検討した。PPIの重要な役割として、医療者が様々な医療場面において意思決定を行う際に判断材料を提供することがある。PPIで薬アレルギーがあることが分かれば、処方において医師に慎重な選択を促すことになる。アレルゲンとなる成分や重症度が呈示されれば、医師はより適切な意思決定を行えることになる。すなわち、PPIをどのような臨床意思決定支援(Clinical Decision Support: CDS)に活用するかを特定することにより、PPIに求められるデータ項目構成が決まって来る。ただし、処方でのCDSだけでも、薬アレルギー以外に、相互作用、併用禁忌、副作用警告、食べ物禁忌等と多くの事項があり、それに伴って必要となる情報が増える。現在の処方状況(他院も含め)、腎・肝機能等の検査値、食事情報が必要となって来る。薬歴や検査歴は通常PPIに含まれないデータ項目である。詳しい食事情報はそもそも記録されていない情報である。したがって、CDSを意識した上で、PPIの担う範囲について同時に検討する必要がある。