Japan Association for Medical Informatics

[2-H-2-3] 臨床レジストリを活用するための患者群状態モデルの構築

石井 雅通1, 美代 賢吾1, 杉山 雄大2, 大杉 満2, 植木 浩二郎2 (1.NCGM(国立国際医療研究センター)情報基盤センター, 2.NCGM(国立国際医療研究センター)研究所 糖尿病研究センター)

【はじめに】当センターでは日本糖尿病学会との共同事業である「診療録直結型全国糖尿病データベース事業(Japan Diabetes comprehensive database project based on an Advanced electronic Medical record System:J-DREAMS)を推進しており、10~20万人規模の登録をめざしている。今後、収集した臨床データを活用した人工知能システムの構築などが期待されている。【課題】登録された臨床データは300項目以上であり、数万規模の多施設患者の状態を直観的に把握することは困難である。データ活用にあたっては従前よりクリニカルクエスチョンごとの個別統計処理が不可避であった。また臨床データを活用して効果的な人工知能システムを構築するには臨床専門家のドメイン知識を効率的に反映可能なデータプレパレーション手法が求められている。【提案手法】蓄積された多施設臨床データを効果よく汎用的に活用する手法として人工知能技術のひとつであるベイジアンネットワークにより構築した患者群状態モデルの利用を提案する。【検証方法】専門医が入力したレジストリ収集対象項目を特徴量として、糖尿病患者に特徴的な検査結果値の変化を正解ラベルとした患者群状態モデルのプロトタイプを構築し、専門医による評価を実施した。【結果及び考察】ベイジアンネットワークによる患者群状態モデルを構築することで患者群の状態の可視化が実現した。モデルを探索的に利用することで専門家による気づきの機会や検索条件の組み合わせによる暗黙知のフィードバックの機会を提供することが可能となり、持続的に知識ベースを発展させるシステムの実現可能性を示すことができた。