Japan Association for Medical Informatics

[2-H-2-6] EDCに対する臨床検査値転送システムの導入効果を評価する研究デザインの課題

西本 尚樹1, 國方 淳2, 横井 英人3 (1.北海道大学病院 臨床研究開発センター, 2.香川大学医学部附属病院 臨床研究支援センター, 3.香川大学医学部附属病院 医療情報部)

本研究の目的は、臨床研究においてEDC(Electronic Data Capturing)に臨床検査値を転送するシステム(転送システム)を評価する際の研究デザインの課題について明らかにすることとした。CRC(臨床研究コーディネータ)の入力に転送システムを使う場合と使わない場合をランダム化する探索的臨床試験として立案し、臨床試験プロトコールの立案時に検討した課題についての検討を行った。電子カルテからEDCの転記は、CRCの業務の中に残っており、その業務の煩雑さとデータの確認に人的コストがかかるのが大きな問題となっている。2018年4月に臨床研究法が施行され、治験以外のヒトを対象とした介入試験、いわゆる臨床試験も法の下で実施することとなり、データの質の管理が求められることとなった。香川大学医学部付属病院の臨床研究支援センターと医療情報部において、EDCに臨床検査値を転送するシステムを評価する共同研究を立ち上げた。主要評価項目として、入力データの正確さ、入力時間、キーボード打鍵数、ダブルチェックに要した回数を検討した。そのうち、倫理委員会に申請するプロトコールとして、入力開始から終了までの時間を主要評価項目とした。統計解析には、本研究が探索的研究という性質から、仮説検定ではなく、95%信頼区間に基づく精度ベースの入力回数の設計を行った。品質管理等で用いられる管理図を用いて、CRCが入力するのにかかる時間を図示する計画とした。SAS9.4(SAS Institute Inc.)を用いて計算したところ、入力時間差の信頼区間の精度は10分、20分、30分の推定値にたいして、12.81分、27.83分、43.38分となった。本研究では、入力時間の差を主要評価項目したが、入力開始・終了の定義を詳細に検討する、入力項目を特定の項目に絞るなどの制限をかけるといった課題が明らかになった。