Japan Association for Medical Informatics

[2-I-1-5] 実数値GAに基づく指骨CR画像の位置合わせ

川越 耕平1, 村上 誠一2, 陸 慧敏1, タン ジュークイ1, 金 享燮1, 青木 隆敏2 (1.九州工業大学大学院, 2.産業医科大学)

2017年における日本の高齢者人口の割合は27.3[%]となっている.高齢化による問題点は,怪我や病気のリスクが高まり,患者数が増加している状況にある.高齢者に多い症状の一つとして骨疾患がある.骨疾患とは,成長障害,骨格の変形,関節の障害,骨折などが挙げられる.症例としては,骨粗鬆症や関節リウマチなどがある.骨粗鬆症は、骨密度の低下および骨組織の微細構造の劣化によって骨強度が弱められ、骨折のリスクが増大する全身性骨疾患と定義される.一般的に脆弱性骨折の原因とされる.症状が進行するほどQOL の低下に繋がる.そのため,早期発見・早期治療が重要とされる.早期発見の為に医療診断では,画像診断が用いられ,撮影技術の向上に伴い信頼度・重要度は高まっている.しかし,撮影技術の向上によりデータ量が増え医師への負担増加や医師の経験の差による診断結果のばらつきなどの問題がある.従って,これらの問題点を解決するために定量的な解析が行えるコンピュータを用いた支援診断システムが必要となり,注目を集めている.CADシステムとはコンピュータを用いて医用画像のセグメンテーション,位置合わせ,病変部の検出などの画像解析を行い,その結果を「第2の意見」として医師が診断に利用することを指している.CADシステムを利用することにより,読影医師への負担軽減,診断精度のばらつきの低減だけではなく,読影速度,読影精度の向上が期待されている.CADシステムを構成する基軸の中に「画像位置合わせ」がある.本論文では,同一被験者の過去・現在で構成される指骨CR画像からReal-Coded Genetic Algorithmを用いた最適化法により,両画像の位置合わせを行うための画像解析法を提案する.実験では,176組の指骨CR画像に提案法を適用し,TPは97.69[%],FPは2.42[%]という位置合わせ精度を得た.