[2-J-1-5] NDBレセプト情報における死亡時主傷病名と死因統計における原死因の比較検討
【はじめに】旧来,人口動態統計などで用いられている死因統計には死亡診断書から判断される原死因が用いられてきた.一方で,NDBレセプト情報の活用により傷病名とレセプト情報を用いての活用が可能となったが,主傷病名を死因として判断する方法をとった場合,両者の死因に差異が生じる可能性が考えられる.そこで本研究では,NDBレセプト情報における死因情報の活用の可能性を検討することを目的として,死因統計との差異についての検討を行った.【方法】 対象データは2012~2015年の北海道のNDBレセプト情報において転帰区分が「死亡」と記載のある中から主傷病名コードが定義されていないものを除いた計127,383件の主傷病名および人口動態調査「死亡数,性・死因(死因簡単分類)・都道府県(21大都市再掲別」とした.また,両者の比較検討にはPearsonの相関分析,カイ二乗分析および残差分析を用いた.なお,NDBレセプト情報における主傷病名は死因簡単分類で用いられている傷病名に統一し,3階層で統計解析を行った.【結果】上位2桁分類を用いて相関分析を行った結果,死因統計とNDBデータの間には,どの年においても高い正の相関が認められた(r=.987-.998,p<.001).次に3階層を対象としたカイ二乗分析を行った結果,上位3桁分類020新生物以外において有意差が認められた(p<0.05).また,各分類における残差分析を行った結果,上位2桁分類において01,03,04,05,06,12,13の分類が死因統計と比較してNDBレセプト情報が有意に高い結果となった(5%,調整済み残差+1.96).【考察】NDBレセプト情報から判断可能な死因と死因統計の比較において,分類ごとで異なる傾向があることが示唆された.旧来用いられてきた死因統計と同様にNDBレセプト情報から判断可能な死因を活用するためには,転帰区分の記載率・正確性の向上,両者の差異についてより詳細な検討が必要であろう.