Japan Association for Medical Informatics

[2-J-3-2] 病理診断ガイドアプリケーションの検討

高橋 遼1, 五味 悠一郎2, 中西 陽子3, 増田 しのぶ3, 根東 義明4 (1.日本大学大学院理工学研究科情報科学専攻, 2.日本大学理工学部, 3.日本大学医学部病態病理学系腫瘍病理学分野, 4.日本大学医学部社会医学系医療管理学分野)

病理診断は、患者より採取した検体で臨床検査技師が標本作成し、病理医が顕微鏡にて組織像を観察することにより実施している。我が国では、患者一人当たりの病理医数は米国の8分の1であり、病理医一人が全診療科及び全臓器に対応する場合もある。診断ガイドラインは500以上存在し、臓器毎の診断基準や治療法の変遷は速く、頻回に改訂されるため最新情報の収集や最新情報に基づいた記載が難しい。最新情報は病理医自身の責任で取得する必要があるものの、病理医は絶対数が少なく診断する標本も莫大であるため、個人の努力で最新情報を網羅することは困難である。そのため、近年の医療で推進されているエビデンスに基づいた診断内容となっていない場合も多く存在する。このような状況による診断や治療が、患者や医療施設さらには医療経済に与える影響は大きい。本研究ではこれらのガイドラインより病理診断のための情報を集約した病理医向けのアプリケーションを開発し、各診断名に対応したガイドラインを簡便に表示することにより、病理診断業務の効率化と均てん化に貢献することを目標とする。本稿では、病理診断ガイドアプリケーションの概要、試験運用のアンケート結果、本アプリケーションの課題について報告する。