Japan Association for Medical Informatics

[2-K-1-5] 生理検査システムを用いた生体検査パニック値(像)遭遇時の迅速報告について

小宮山 恭弘, 脇 英彦 (森ノ宮医療大学 臨床検査学科)

はじめに】電子カルテ導入に伴い、心電図を含めた生理検査システムの導入も増加している。現行では、患者基本情報、依頼情報に加えて、依頼時コメント情報の検査機器への受信や確認が機器上の操作で可能である。急性心筋梗塞や致死性の不整脈などのパニック値(像)に遭遇した場合、速やかに臨床側に情報を伝える必要がある。今回緊急を要するパニック値(像)に遭遇した場合に、臨床側にアラート情報をシステム利用により迅速に報告可能な運用を構築したので報告する。【方法】使用機器は日本光電社製多用途心電図装置ECG2560及びシステムPrime Vita Plus。既存のコメント入力機能を利用して、上位システムへのアラート送信を行った。検査技師が緊急に報告すべきパニック値(像)に遭遇したときに、混乱した状況下で電話連絡をせずとも、機器のコメント入力機能を活用することで、臨床側に速やかに緊急事態を知らせることが可能である。【結果】生理検査では検査種により報告形態やタイミングが異なるが、リアルタイム報告が基本となる心電図や呼吸機能検査などの波形解析系では、実施と同時に電子カルテに結果が送信される。検査現場と臨床側の情報共有の方法としてコメント入力機能を利用することで、現場での混乱なしにスムーズに情報伝達が可能であった。【考察】生理検査システムからの送信情報に基づいて、上位システムである電子化カルテ側にタグ情報を付加し、現場で起きている緊急事態を、臨床側医師が電子カルテ画面で把握できるようなシステム連携も、今後の実証を踏まえながら行っていく必要がある。また、将来的には所見コードを利用して、特定のコードを受診した際に、予め決められたロジックを実行することで、臨床側にパニック値(像)であることを知らせるなども技術的には可能である。【結語】生体検査において、パニック値に遭遇した場合、臨床への報告をシステム化することで、緊急時の技師のヒューマンエラーによる情報漏れを回避しシステマティックに状況を報告可能となる。