Japan Association for Medical Informatics

[2-K-3-1] 機械学習を用いたサーモグラフィによる乳がんスクリーニングの動向

竹野 肇, 香山 綾子, 市川 太祐, 斎藤 季, 小山 博史 (東京大学大学院医学系公共健康医学専攻臨床情報工学室)

乳がん検診では、現在マンモグラフィ検査が標準的に行われている。しかし、検査時疼痛や放射線被曝、デンスブレストの場合は乳がんの判別が難しいという問題が指摘されている。そこで、超音波検査(エコー)やMRI検査などとの併用が行われている。サーモグラフィは非接触、非侵襲に温度(輝度)情報と画像情報の両方が得られるため、生理的情報と形状的情報の両方が使用できる。したがって、乳がん検診の新たな手法になると考えられるが、これまでのところエビデンスは十分ではなく、FDA(米国食品医薬品局)は、2011年の時点で乳房サーモグラフィはマンモグラフィの代用品とならないと勧告を出した。近年医療画像パターン認識にAIや機械学習が多く用いられるようになり、サーモグラフィにおいても画像情報に機械学習を用いた研究も増加した。そこで、本研究では機械学習を用いたサーモグラフィによる乳がんスクリーニングの動向を分析し、研究動向を明らかにすることを目的とした。方法として、論文データベースPubMed、Web of Search、IEEE、Cochrane Libraryを用いて研究論文を2011年から2017年まで検索した。検索は「thermal imaging」と「thermography」の論理和に「breast cancer」の論理積で行い、機械学習を用いた研究を抽出し分析を行った。その結果、機械学習については16の研究報告があり、最も使用された機械学習はSVMで、以下、Bayesian Network、Neural Network, k-NN, Decision Treeが複数の研究で用いられていた。本発表では、これら論文で検討されていた分類器とそれらを用いた乳がんスクリーニング結果を分析し、機械学習を用いることによる乳がんスクリーニングへのサーモグラフィの使用の可能性を考察した。