一般社団法人 日本医療情報学会

[3-A-1-2] システムレベルアップを契機とした診療記録の一部としての看護記録の標準化への挑戦

伊藤 明美 (神戸市立医療センター中央市民病院)

 日本看護協会は2018年に新たに「看護記録に関する指針」を発表した。その中で看護記録の本来の目的は「看護実践を証明する」「看護実践の継続性と一貫性を担保する」「看護実践の評価及び質の向上を図る」の3つであると述べている。近年、療養の場は病院だけでなく施設や地域など多岐に及んでいる。場が変化しても看護の継続性や一貫性が担保できることが望ましい。病院内においても多くの職種が協力しながら患者に関わっている。
 チーム医療の中で看護師が何を考え、ケアを実践しているのか、看護師の思考過程を多職種からみてもわかりやすく、記録に残す必要がある。看護実践においては、ケア実践だけでなく観察も大きな時間を占めている。多くの看護職員が交代制で患者をみていくうえで、共通用語や同じ評価視点を持ち、共通理解をした中で記録していくことが必要である。
 今年度、ベンダ変更を伴うシステム更新を行った。また今回の更新を際に標準看護計画とパスとの整合性の確認、BOMの導入、看護診断と標準看護計画が混在しているものを標準看護計画に完全移行した。同時に用語の見直しも行い、用語の統一などをおこなった。
 マスタ作成の過程において、看護ケアについては施設間で大きく異なることはないと考えるが、具体的なケア方法や項目内容の挙げ方はクリニカルパスの視点も併せて考えた。また観察項目マスタは、医療安全上必要な項目、診療報酬上必要な項目、疾患や症状の変化に必要な項目、処置や検査後必要な項目などの視点で標準用語と照らし合わせながら整理していった。また実践結果を記録に残す際には、だれがみても同じ評価ができるように基本的にはあるか、ないかとして、「+」「-」とし詳細は記録にフリーで残すようなマスタを作成した。
 マスタ作成においては、ベンダが変わることによるマスタ構造の違いや画面マスタ、マスタの紐づけが異なることなどの違いに悩まされ、構造理解に時間を要した。