Japan Association for Medical Informatics

[3-A-1-3] 地域包括ケアに向けた多職種連携におけるヘルスケアサービス共通用語の検討

高見 美樹 (兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科)

ケアマネージャーが実施する利用者のアセスメントは、特に制度によって決められた様式はない。ケアマネージャーの研修では、社会福祉法人全国社会福祉協議会が提唱する「居宅サービス計画ガイドライン」に掲載されているアセスメント項目を用いていることが多いが、介護保険申請時における要介護認定の調査項目を基に、利用者のアセスメントを実施していることが多い。
しかし、介護保険申請時の要介護認定の調査項目だけでは、利用者像や課題に応じた適切なアセスメントができず、重症者に対する医療との連携が必ずしも十分ではない等との指摘がある。そこで、利用者のニーズを包括的に把握するために最低限必要と考えるアセスメント項目を、チームケアを構成する多職種が理解できる共通な用語によって整理したものがインターライ方式によるアセスメント項目である。ただし、インターライ方式は300項目以上のアセスメント項目があること、3日間の利用者の状態を基に評価する必要があり時間を要すること、評価者によるぶれを少なくし、正確に状態を把握するためにアセスメントの意義と評価基準を定めていることから、利用へのハードルが高く、活用が進んでいない現状にある。
利用者のアセスメントはケアマネージャーが実施するが、情報共有として介護職(ヘルパー)も確認することになる。ケアマネージャーは、看護職以外の職種の場合もあり、入院患者のアセスメントを行う場合は、看護師からケアマネージャーへ、患者情報の提供を行う場合もある。
本発表では、チームとして介護職をも含めた看護師からの患者情報の提供を行う際に、どのような用語が必要か検討することを最終目的とし、その第一段階として、「居宅サービス計画ガイドライン」や、「インターライ方式」、「介護福祉士会アセスメント方式」によるアセスメント項目についてその概要をまとめ、どのようなアセスメント項目が用いられているのか、類似点などについて整理する。
さらに、入院患者が退院後に介護支援サービスを受ける際、医療施設側からケアマネージャーに提供される患者情報にどのような項目があるのか、複数施設の実態を調査し、その現状から多職種連携におけるヘルスケアサービスの共通用語について検討する。