一般社団法人 日本医療情報学会

[3-A-1-4] 多職種多施設連携のための標準ケアセット - 「Health Care books(HC books)」-

村岡 修子 (一般社団法人日本看護業務研究会)

 多職種が連携し協働していくためには、患者の治療・処置・ケア等の情報を効果的かつ効率的に共有でき、相互に活用する仕組みが重要です。しかし、現在の看護記録は、看護職間での情報共有はできていますが、自施設以外の施設や看護師以外の職種との患者情報の共有ができているとは言い難い状況にあります。
 多職種が共通認識できる記録となるには、患者の経過を、疾患別、症状別、治療別等から患者の状態の変化が理解できるような記録にする必要があります。つまり、クリティカルパスのように記録様式とそこに記載される用語を標準化し、分かりやすくした記録が必須です。そこで、このようなことを可能にすることを目的として、日本看護業務研究会では、「Health Care books(HC books)」を作成しました。
 HC booksは、ケア計画を患者状態の経過ごとに標準化したセットです。その特徴には、患者の状態を疾患別、症状別、治療別、病期別にフロー図として示していること、病期別に患者の目標と観察・介入項目をセット化していることの2点あります。HC Booksは、治療や療養する場を問わず、医療や介護を提供する多職種がお互いに理解できる用語を使用しています。また、疾患別や病態別、そして病期別や治療別に必要な患者目標、観察項目、介入項目を設定しているので、職種や療養の場に影響されることなく、治療・処置・ケア等の情報を効果的で効率的に共有することが可能です。このように、多職種と患者の情報共有を可能にすることは、多職種連携の強化だけではなく医療の質保証に貢献すると考えます。
本セッションでは、多職種連携と医療の質保証の二つの側面に焦点をあてて、HC booksの活用方法と今後の展望について情報提供を行い、未来の看護記録の在り方について皆さんと一緒にディスカッションしたいと思います。