Japan Association for Medical Informatics

[3-A-1-5] 看護の皮をむいていったら、一体何が残る

宇都 由美子 (鹿児島大学大学院医歯学総合研究科医療システム情報学)

 平均在院日数の短縮や施設基準要件のクリア、チーム医療の推進の結果、看護職員以外の病棟配置職種が増え、「1病床あたり職員数(医師以外)をみると、約95%の病棟で看護職員以外の職員を配置しており、病棟配置職員の約2割が看護職員以外の職員になっている(中医協2017年3月15日)。」という状況に至っている。
 この変化が何を意味するかというと、従来、患者の療養上の世話はすべて看護職が行ってきた。したがって、看護量の算定は看護職が患者に提供したすべてのケア量を数値化することで、適正看護配置などに活用できるという意義があった。ところが、看護職が行ってきた直接ケアの一部が看護補助者等に委譲され、病棟配置薬剤師が服薬指導に当たるようになり、栄養士が食事の摂取状況の観察や食事指導を行うようになってきた。保健師助産師看護師法5条において規定されている看護師免許を受けてできる業務について、患者に必要な行為を看護師がすべて行わなくなっている現在、看護行為ごとの量や頻度の収集は、「看護の見える化」とは言えなくなった。「看護の皮をむいていったら、一体何が残る」という新たな課題解決にあたらなければならず、「看護の専門性」を追求するために何を入力・蓄積していかなければならないのか。
 日本医療情報学会の課題研究会「医療ICTと在宅連携のための標準看護マスタのモデル研究会」における活動から得られた知見と、鹿児島大学病院看護部における看護マスタ作成に関する取り組みをもとに、「看護の皮をむいていったら、一体何が残る」について、皆様と議論する場としたい。