Japan Association for Medical Informatics

[3-A-4-2] 標準データモデル案での解析、課題とその解決策

中熊 英貴 (済生会熊本病院)

 JAMI、JSCP、JAHISの3学会で作成したデータモデル案に則して九州大学病院および済生会熊本病院のデータを収集し、解析した。さらに、四国がんセンター、済生会横浜市東部病院のデータを加え、再解析した。そこで浮かび上がった課題を抽出し、データモデル案をブラッシュアップしたため、その内容を報告する。
 現状のデータモデル案は、①観察項目評価とアウトカム評価がひも付く形で出力できない、②入院日、退院日、手術日が出力できないため、病日、術後1日目などの手術相対日以外で期間を指定した分析が出来ない、③観察項目コードをローカルコードで運用している場合は観察項目レベルでの分析が出来ない、④アウトカムや観察項目がパスに設定されていても未入力があり、除外せざるを得ない、以上の課題が整理できると、4施設共通のデータでの機械学習解析も可能であることがわかった。痛みは疼痛、創痛など、ドレーンは排液や術後出血、合併症などアウトカム表現が異なっていた。アウトカムレベルでは異なるが観察項目レベルでは同じ可能性があるため、観察項目まで正確に把握する必要があった。手術日、入院日などのイベント日付から相対日を抽出する場合は日付データで出力し、そのデータを計算し、何日目かを定義する必要があった。データモデル案の属性として医療機関コードや適用診療科、パスコード、パス名称などを定義した。出来るだけ標準コードを使用することを目指し、医療機関コードは厚労省のコード、適用診療科はJAMIで定義したコードを使用した。パスコードは1日分のパスや入外など、パス終了区分は終了や逸脱など施設間で異なるため、整理し、決定する必要があった。
 観察項目分析を詳細に行うためには、実測値を含めた分析が必要である。さらに、データ精度を上げるためには、アウトカムと観察項目のセット化や運用の標準化、データモデル案の骨格であるデータ・ユニットの定義付けも検討する必要がある。