Japan Association for Medical Informatics

[3-B-2-1] 画像診断管理加算3と被ばく管理の現状

坂本 博 (東北大学病院)

 平成30年度の診療報酬改定にて新設された画像診断管理加算3では、その施設基準通知において「関係学会の定める指針に基づいて、適切な被ばく線量管理を行っていること。その際、施 設内の全てのCT検査の線量情報を電子的に記録し、患者単位及び検査プロトコル単位で集 計・管理の上、被ばく線量の最適化を行っていること。」との条件が示されている。その背景には国際放射線防護委員会(ICRP:International Commission on Radiological Protection)が診断に影響を与えない範囲でできるだけ医療被曝を提言するための照射線量の目標値として、診断参考レベル(DRL:Diagnostic Reference Level)を定義することの勧告に始まり、"医療被ばく"特にCT検査についての被ばくが注力されていることがあげられるであろう。データの管理においては、標準規格であるDICOM規格でSR(Structured Report)を基盤としたRDSR(Radiation Dose Structured Report)が構築されており、既に米国ではCT装置に標準仕様として組み込むことが義務付けられている。さらにIHE(Integrating the Healthcare Enterprise)からは、REM(Radiation Exposure Monitoring)という標準ワークフローも提唱されている。また、画像診断管理加算3の施設基準通知に加えて施設基準届出様式内にも「関係学会の定める指針に基づいて、適切な被ばく線量管理を行っていること等を証明する書類を添付すること」と示されている。両者に示された"関連学会の定める指針"とは日本医学放射線学会(JRS)が2015年4月に発出された「エックス線CT被ばく線量管理指針」とされ、それに基づいて適切な被ばく線量管理を行っていることが必要とされている。このような背景と指針の中で、現時点での医療機関が如何に被ばく管理を行うことができるのか、現実的な対応方法とその課題について整理する。