Japan Association for Medical Informatics

[3-C-1-2] 構造化した疼痛バリアンス記録の効果

髙山 洋平, 坂本 留美, 西岡 智美, 堀田 春美, 管田 塁, 中熊 英貴, 小妻 幸男, 髙志 健太郎, 町田 二郎 (済生会熊本病院 クリニカルパス分析専門部会)

【はじめに】 当院は、すべてのクリニカルパス(以下パス)に「疼痛コントロールができている」というアウトカムを設定し、疼痛を医療の質の評価として重要な指標としている。疼痛管理の観察項目にNRS(Numerical Rating Scale)を評価ツールとして使用し、NRS2以下を適正値とし、NRS3以上になるバリアンスとして認識し、カルテに自動表示され、SOAPで記録することとしている。しかし、その記録内容は、記録がない場合や叙述式記録が多く、データ分析が困難であった。そこでSOAP記録のプラン(以下P)の選択肢をマスター化し、構造化したバリアンス記録の効果を検証する。【方 法】 15のパス(外科系パス:9、内科系パス:6)を選定し、バリアンス記録構造化前後(前:対照群、後:構造化群)で「疼痛コントロールができている」に対するP内容を比較した。構造化前後におけるPの記載率および内容の傾向、構造化後のバリアンスの頻度を分析した。【結 果】 対照群(n=760)のバリアンス件数は3896件であり、構造化群(n=746)のバリアンス件数は3078件であった。P記載率では、対照群69.1%、構造化群93.3%であり有意に上昇していた(P<0.05)。構造化群Pの内容は、経過観察が44.3%、服薬投与が49%であった。服薬投与の内容は内服薬が55%、NRS5までは35%投薬され、NRS6以上となると坐薬と注射薬が37%と多く投薬されていた傾向であった。また外科系パスでは術当日に20~60%のバリアンスが発生し、内科系パスでも常時20%のバリアンスが発生しており、バリアンス頻度に差が見られた。【考 察】 Pの選択肢にすることにより、内容の明確化ができ、記録の精度の向上に繋がった。マスター化することで容易に分析が可能となり、結果をフィードバックすることで効率的にPDCAサイクルを回すことができると思われる。【結 論】構造化したバリアンス記録は、記録の精度の向上することができ容易に分析可能となった。