Japan Association for Medical Informatics

[3-D-1-1] 病棟デバイスの普及に伴うコミュニケーション量の妥当性確保に向けて

瀬戸 僚馬 (東京医療保健大学)

 病棟デバイスの普及により、医療従事者間および対患者のコミュニケーションの形態が変化しつつある。
 これまで医療従事者間は口頭、書面そして電子カルテを用いた情報伝達が一般的であった。また、医療従事者・患者間は、口頭のほかナースコール等の通信機器を用いた情報伝達が存在していた。いずれにせよ、発信をしたら看護師等がこれに応答することが前提とされていた。
 しかし、昨今では、RFIDタグを用いた位置検知技術や、カメラを用いた患者の動作監視等の仕組みが爆発的に増え、何らかのトリガーを「人手による応答」と単純に結びつけたのでは、とても対応しきれない状況になってきている。人に応答を求めるという意味では、電子カルテの伝言板機能も、各種センサーに起因するナースコールも、臨床的には同じ土俵上にあるコミュニケーション技術である。とはいえ情報システムや設備というモノとして捉えるとそれぞれ役割も異なるため、コミュニケーション量を俯瞰的に適正化する議論は、必ずしも活発でない面もあったと考える。
 検出する側の技術が進歩した以上、コミュニケーションの「量」が増えることは自明である。この量が適正量を上回っているというのであれば、検出量を抑制するか、検出後の「人手による対応」という前提を見直すかの何れかである。
 このような議論は技術的にある程度の整理を行い、その上で臨床的な価値判断という視点での妥当性確保が必要になってくる。日本医療情報学会看護部会病棟デバイスWGではこの価値判断をするための基礎データの収集に努めており、本シンポジウムでも会場の皆様とともに議論していきたいと考えている。