Japan Association for Medical Informatics

[3-D-2-2] ISM(Interpretive Structural Modeling)法による遠隔医療普及阻害要因の抽出と普及に向けた対応策について

清水 大暉1, 辻 真太朗2, 谷川 琢海3, 谷 裕児4, 小笠原 克彦2 (1.北海道大学大学院保健科学院, 2.北海道大学大学院保健科学研究院, 3.北海道科学大学保健医療学部, 4.旭川医科大学病院経営企画部)

【背景と目的】2018年度診療報酬改定でのオンライン診療科等の新設により遠隔医療の普及に期待が高まっている。しかしその普及には診療報酬以外にも様々な阻害要因があるため、その構造を明らかにした上で議論を行う必要がある。そこで本研究では遠隔医療の普及を阻害する要因の構造を報告・議論し、遠隔医療推進に向けての資料とすることを目的とする。【方法】医療機関で医療情報業務経験のある4名によりブレインストーミング及びグループ化を行い遠隔医療の普及を阻害する要因を抽出した。次にISM(Interpretive Structural Modeling)法により、阻害要因を一対比較することで隣接行列を作成し、そこから可到達行列を計算しその要因の構造化及び可視化を行った。これらの結果から、普及促進策について検討した。【結果と考察】遠隔医療の阻害要因として「誤診リスク」、「医師負担」、「責任分界点」等、23の阻害要因に分類することが可能であった。また、ISM法によりこれらを「導入コスト」、「研究不足」、「リスク」から始まる9階層に分けることができ、根本的なものから順に政策・機器・人的要因となった。政策的要因は解決されつつあるため、今後は機器的要因の解決が必要と考えられる。現在のIT技術などにより「ネットワーク」や「画質」、「設備」の障壁が低くなっていると考えられることから、普及に向けて今後は「セキュリティ」が鍵となることが明らかとなった。