一般社団法人 日本医療情報学会

[3-D-2-6] ロジックモデルに基づいた診療支援部門効率性評価モデルの開発

吉田 翔1, 荒木 賢二2, 山﨑 友義2, 串間 宗夫2, 小川 泰右2, 松尾 亮輔2 (1.宮崎大学医学獣医学総合研究科, 2.宮崎大学医学部附属病院医療情報部)

1.目的医療の質と数の維持・向上は衰退する地域からの希求であり、医療情報を活用した経営分析と改善への戦略的かつ具体的行動が必要である。本研究では施策の立案・評価・改善の手法として用いられる「ロジックモデル」を活用し、病院資源(人・モノ・場所)が院内でどう作用し(アウトプット)、利用者や経営にどう影響を与えているのか(アウトカム)を評価し、医療の効率化・経営力向上(インパクト)に向けたデータ抽出の手法を提案する。2.対象と目標情報公開量が多い500床以上の病院から10先を対象に薬剤部・検査部・放射線部をターゲットとして病院部門ホームページから各部の資源(人・モノ・場所)や行動・取組(アウトプット)、取組評価・説明(アウトカム)を抽出し、病院経営に影響を与えている目的変数について調査を行った。3.結果調査の結果、各部共通して資源が豊富な病院が良好な利用者評価や経営に繋がっている事が分かった。一方で資源に劣る病院でも高い利用者評価と安定した経営に繋げている例もあり、資源と行動(アウトプット)のバランスや掛け合わせ方が経営状況(アウトカム)に影響を与えている事が病院間比較で確認できた。検査部ではTAT(ターンアラウンドタイム)、薬剤部では病棟配置薬剤師一人あたりの薬剤管理指導件数、放射線部では技師一人あたりの読影レポート作成数が経営に影響を与える目的変数として確認できた。資源と行動のバランスに優れた病院ではこれら目的変数の数字が優れており、高い利用者評価と経営活力(積極的な設備投資等)に繋がる傾向にあった。4.結語本研究による評価手法では病院間の相互比較により、診療報酬がなく単純に部門別収支で経営状況を可視化できない部門においても、どの資源、どの行動が経営に影響を及ぼしているかの抽出が可能。課題・問題点の解決行動に繋げることが期待できる。今後更に調査を進める事で目的変数の充実を図り、実際の病院評価に繋げる。